2020年10月04日

小泉八雲が探し出した日本の宝物

明治の日本とラフカディオ・ハーン

小泉八雲(こいずみ やくも、1850年 - 1904年)という小説家をご存じであろうか。

小泉八雲は明治時代の日本に来日したギリシャ生まれの新聞記者であり、そのまま日本に帰化して随筆家、小説家、日本民俗学者として多くの作品を書き残した。

少年期に受けたキリスト教の教義を嫌い、極東の日本の精神文化を深く愛しただけではなく、日本の風俗伝承をベースに怪談話を英語でまとめた『怪談』を出版したことでも知られるように日本特有の神秘主義的精神風土に強い関心を持ち続けた。

彼の多くの作品は日本での題材を扱っていながらその原作は英文で書かれているので、実際のところそこからさらに和訳された作品を我々は目にすることになる。

何だか不思議な感じである。

個人的には、国の史跡にもなっている島根県松江市の小泉八雲旧居を訪れたことはあるのだが、残念ながら熊本市にある旧居の方へは行ったことがない。

小泉八雲は一時期、熊本の第五高等学校の英語教師として赴任していた。



青柳の話、十六桜 ラフカディオ・ハーン『怪談』より・・・  





この[青柳の話]は、怪談というようなおどろおどろしいところがなくて好きな作品である。

個人的な話しで恐縮なのだが、何十年もの以前、私が結婚前の妻の実家に始めて挨拶に行ったときのことが[青柳の話]を読むたびに想い出されてくる。

当時の妻の実家は田舎のままの風景が周囲に広がっていて、とても緑が多い土地柄であった。

その実家の門に入ると目の前の庭には20メートル近い高さの大木があって、敷地内を覆うように大きく枝を広げていた。

大木の茂りが鬱蒼としているだけに、昼間でも少し薄暗い感じがしないでもなかった。

それこそ樹木の間に住居があるという感じで、いわば緑濃い森の中の古風な住まいという感じであった。

とうやらその住居も明治以前に建てられたものということで、それだけにこじんまりとした佇まいをみせていた。



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森の中の古い家というだけでも何だか神妙になるところであるが、妻が末っ子ということもあって両親もそれ相応に年配者であった。

妻の兄弟姉妹はそれぞれに家を出ていたから、そのときは妻は末の娘として両親と3人で暮らしていた。

両親が明治、大正の生まれと云うことであったから、戦後生まれ者としてはそれだけでも初対面でひどく緊張したものである。



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妻の両親は私の両親よりもずっと年上だった。

そのとき妻の父親はすでに七十に近かったはずである。

一通り挨拶も済ませて帰り際、庭の大木を見上げていて、それが珍しい「オガタマ(招霊木)」の木であることを知った。

招霊木を見たのはこのときが始めてであった。

挨拶をしたとき、自分のような若造に妻の両親はこころよく娘の将来を託してくれたのだという感慨がたしかにあった。

そしてそのとき私は、ふと小泉八雲の「青柳の話」を独り想い出していた。

40年近く経ってすでに妻の両親も亡くなってしまい、その古風な実家も跡形なくなくなってしまった。

しかしながらいまでも庭の「オガタマ」の大木だけは、変わらぬ姿で空高く茂ったままで残っている。







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ラベル:青柳の話
posted by モモちゃん at 02:53| 歴史探訪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする