2016年12月28日

映画にみる武士の面目と意地について

武士の意地が描かれている作品

森鴎外の短編小説に『阿部一族』という作品がある。

江戸時代初期に肥後藩で起きた殉死に関わる事件を題材にしもので、家中の重職であった阿部一族が上意討ちに至る経緯が歴史小説として、大正2年(1913年)1月に『中央公論』誌上に発表された。

その事件の発端は、寛永18年(1641年)肥後藩主細川忠利の病状が悪化し、側近たちは次々と殉死を願い出て許されたのであるが、老臣の阿部弥一右衛門も同様に殉死の許可を乞うが、主君忠利は「生きて新藩主を助けよ」と遺言し、忠利は死去する。

主君の許可なく腹を切ったのでは犬死だと、弥一右衛門は考えていた。

旧臣たちが次々と殉死していく中で弥一右衛門は、殉死できぬまま従来どおり勤務していたが、周囲からは彼が命を惜しんでいるという陰口を耳にしたことで、息子ら一族を集め彼らの面前で切腹を遂げる。

しかし主君の遺命に背いたことが問題となり、阿部家は藩から殉死者の遺族として扱われず、逆に家格を落とす処分を受けることとなる。

鬱憤をつのらせた弥一右衛門の嫡子・権兵衛は、忠利の一周忌法要の場で髻を切ったことで非礼を咎められ、捕縛され罪人同様に縛り首となる。

藩から一族への度重なる恥辱によって彼ら一族は家中での武士としての面目を失い、追い詰められたことで、次男の弥五兵衛はじめ兄弟は覚悟を決して屋敷に立てこもる。

そしてついには藩のさし向けた討手を相手に壮絶な死闘を展開し、阿部一族は全滅する。

阿部一族の武士としての意地が鮮烈に描かれている作品である。


ここで初めて熊谷久虎監督の映画作品「阿部一族(1938)」を観た。

この作品は、森鴎外の作品を忠実に描き切っているように思えた。




阿部一族(1938)/熊谷久虎










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ラベル:肥後藩
posted by モモちゃん at 23:23| 江戸時代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする