2020年01月25日

古代中国に蔓延した伝染性疾患とは何か?

不思議な古代の医薬情報とは?

古代から伝わる「傷寒論」という本のことをご存知ですか?

「傷寒論」は、後漢末期〜三国時代に張仲景が編纂した中国医学書の古典籍ですが、2000年以上以前の医薬情報、治療情報が記された文献ということになります。

その内容は現代医学で云うところの伝染性疾患のチフスやインフルエンザ、マラリアといった疾病の治療法を扱ったものです。

もともとこれを著した張仲景は長沙の太守だったのですが、伝染性の疾患でその一族200人の大半が短期間に命をなくすという悲劇に遭ったのです。

このように当時は、一旦伝染性の悪性インフルエンザの類いが流行すると村や町単位で次々と蔓延し、たちまち付近一帯がまったくの無人状態になることも珍しくありませんでした。

こうした悲惨な状況を嘆いた張仲景は多くの医学書を漁り、心血を注いでこの「傷寒論」を書き上げたのです。

ただし早くにその原本、原文の一部は散逸してしまったため完全な形では後世に伝えられてはいないとされています。

「傷寒論」自体はもともと紙に記されていたのではなく薄い竹の板の表面に書かれていたのであって、原本そのものは竹簡といわれ紐で繋いで丸めてあったものです。

それはとても嵩張りますし、持ち運びや保管にも不便でした。

それが当時の紙による書物が登場する以前の書籍というものの原始的すがたであったわけです。

当然紐が切れれば竹簡全体がばらばらになってしまいますし、虫に食われれば穴があいて書かれている文字が判読できなくなってしまいます。

いうまでもなく竹そのものは、虫食いやカビにとても弱い素材でした。

時とともに竹簡が脱落したりして散逸してしまえば、そのまま記されている情報は失われてしまいます。

いま現在まで過去の典籍が残されてきたということは、そうした歴史的変遷に耐えていくうちに竹簡から紙に書き写されどうにか今に伝えられてきたということになります。

そうした貴重な文献は、かっての遣唐使らが命懸けで日本に持ち帰った文物に含まれていました。

日本に伝わったそうした医学書は珍重され、日本でも独自に研究されました。

「傷寒論」の内容は簡潔な条文で構成されおり、その治病理論は極めて精緻であり、これまでにも歴代の医家によって研究と追試が試みられただけではなく、関連医書の編纂や多くの注釈本が書かれてきた貴重な古典医学書です。

そうした「傷寒論」について書かれた後世の専門的注釈本は、現在中国国内でも優に1千種を越える文献が確認されているといわれています。



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ここで一つ考えてみてください。

2千年以前の治療情報、薬物情報がどうして現代まで失われずに伝わってきているのか不思議だとは思いませんか。

古代の医学情報など、それこそ原始的で古くさい取るに足らない遺物そのものだとは思いませんか?

ところが不思議なことにこの「傷寒論」という医学書は現代でも高く評価されているだけではなく、ほぼそのまま通用するというのです。

科学文明がこれだけ進歩した現代にあっては、何だか可笑しな話ではないでしょうか?

それも薬物や医療に関わる情報です。

いわゆるそうした情報は、歴史的に見れば優れたものの登場によって過去の遺物は次第に淘汰され消滅していくのが人類文明史の常識ではなかったでしょうか?

いつまでも古臭いものに縋りついていくというのは、どう考えてもいただけません。

過去の古いものは捨てられ忘れ去られていくのが、人類のすべての歴史でみられる当たり前の自然な流れでもあります。

特に医療技術や薬物情報というものは、常に新しい発見や画期的な術式が登場することによって確実に進歩の道筋を辿っていくものであるに違いありません。

ところが21世紀の今日においてさえ、意外過ぎる事実として「傷寒論」そのものは色あせずに今も活用され続けているというわけです。

現代でもこの「傷寒論」に書かれている薬物情報は、医療の世界では高く評価されています。

傷寒論は、いまでも中国医学に関心を持つ世界中の医師や薬剤師に読まれ続けているのです。

本当に不思議といえば不思議です。


いわゆる漢方薬は副作用がないというのは間違いです。

漢方薬でも酷い副作用を起こす場合があります。

自然な生薬を使っていてさえも、薬というのは使い方を間違えると危険なのです。

はるか古代からのそうした薬物情報がこの「傷寒論」には、集約されているともいえます。

事実、「傷寒論」が書かれた時代であっても、医家自身が師から受け継ぎ3代にわたって臨床試験がなされた処方しか患者には投与しないという諺が通用するほどにその薬物は慎重な取り扱いがされたといいます。

そうした長時間の検証作業が積み重なって、ようやく「傷寒論」は成文化されたのだとも言えます。

過去の貴重な薬物情報だけでなく、その背後にある自然哲学的考え方も同時に再認識されるのが好ましいことではないでしょうか。

漢方薬がもっとも効果を発揮する使われ方は、「傷寒論」に書かれている診断技術によって確定された病証とそれに適応した薬物が処方された時というわけです。

これも何だか意外な感じです。











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posted by モモちゃん at 07:03| 歴史発見 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする